講演情報
[競技スポーツ-A-43]青年期の剣道競技者へのアンケート調査におけるアキレス腱断裂に関わる因子の検討(スポーツ傷害の予防)
*廣野 準一1、速水 達也1 (1. 信州大学)
【はじめに】アキレス腱断裂は、復帰まで半年以上を有する重症度の高いスポーツ外傷である。我々は、過去の本学会において、剣道ではアキレス腱断裂が発生しやすく特徴的な発生傾向があることを示した(Hirono et al. 2020)。本研究では、青年期の剣道競技者におけるアキレス腱断裂に関連する因子を検討することを目的とした。【方法】日本国内の高校および大学の剣道部166団体に所属する剣道競技者に調査を依頼した。紙媒体およびwebでのアンケートにより、アキレス腱完全断裂の経験有無と初回断裂時の年齢、関連が考えられる項目(断裂以前のアキレス腱への問題の経験有無、性別、剣道開始年齢、各年代における構えの種類、剣道の稽古・補強トレーニングの頻度・時間、準備運動・整理運動の時間、団体・個人での最高戦績)について調査した。調査は倫理委員会の承認を得て実施された(信州大学第237号)。得られた回答から稽古・トレーニングの頻度と時間を乗じて稽古量・トレーニング量を算出した。断裂経験あり(断裂群)と経験無し(対照群)に群分けをし、名義尺度についてはカイ二乗、間隔尺度または比率尺度の場合は対応のないT検定を用いて検討した(p<0.05)。【結果と考察】3088名から有効回答が得られ、そのうちアキレス腱断裂完全経験者(断裂群)は43名であった。断裂群は対照群と比して、断裂以前のアキレス腱への問題の経験有と女性との回答が多かった(p<0.05)。その他の項目では群間に有意な差はみられなかった。アキレス腱断裂の発生の基盤には腱の変性が存在するとされており、アキレス腱に痛みや違和感がある場合は、断裂に一層の注意が必要である。膝前十字靭帯や足関節外側靭帯の損傷は女性に多いと報告されているが、アキレス腱断裂の性差について一致した見解は示されておらず、興味深い知見を示した。
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