講演情報
[競技スポーツ-A-23]高校野球において須江航が担ったコーチの役割(哲,方)国際コーチングエクセレンス評議会『International Sport Coaching Framework』に依拠して
*佐藤 直央1 (1. 日本体育大学大学院)
2024年、全国高等学校野球選手権大会は106回大会を迎えた。そのような長きにわたる伝統を持ちながらも、近年、高校球児の脱坊主化の傾向、複数人投手起用、球数制限など高校野球のあり方が大きく変化している。スポーツ界全体をみても主体性を求めるコーチングや競技者としてのあり方の再考が求められてきている。そのような状況では、指導者も選手や環境に合わせて役割を常に変化させることが求められると考える。実際に高校野球では、主体性を重んじ、未曾有のコロナ禍の中、東北地方初の優勝を成し遂げた仙台育英高校の須江航氏が現れている。コーチの役割に関しては、国際コーチングエクセレンス評議会(ICCE)ら(2013)による『International Sport Coaching Framework(国際スポーツコーチング枠組み)』において、コーチにはビジョンと戦略の設定、環境の整備、人間関係の構築、練習の実施と試合の準備、現場の理解と対応、学習と内省の6つの主要な機能が求められると述べられており、広い観点からコーチの職務を見ることが可能である。そこで本発表では、須江氏のコーチとしての職務をより明らかにするためにフレームワークに当てはめつつ、具体例を詳らかにしたい。その結果を指導者自身のコーチングに落とし込んだり、高校野球において指導者に求められる職務を考えていくうえでの一助となると考えた。 調査方法は文献研究として、須江氏が刊行した3冊の書籍を対象に、「6つの職務」の観点から分析を行うこととした。フレームワークは客観的・普遍的に分析を行うことができるので、今後別の指導者と比較して6つの機能や指導者に求められるコーチングを検討することができると思われる。須江氏を選出した理由としては、指導実績、選手育成、活動に対する社会的評価の観点である。また、発表者自身のコーチとしての経歴と類似している点も含まれている。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン