講演情報

[学校保健体育-A-16]体育授業における恥ずかしさが生まれる要因について(教,方,心)

*杉村 明咲1、持田 尚2、杉本 信2 (1. 福岡市立東福岡特別支援学校、2. 帝京科学大学)
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Ⅰ.緒言
 生徒たちは体育授業において「恥ずかしさ」を感じる場面があり、積極的な活動を躊躇することもよく起こる。そしてそれは個人や場面、状況で異なっているのであろうが、その要因は明らかではない。
Ⅱ.目的
 体育授業の中での「恥ずかしさ」が生じる具体的な要因を明らかにし、その対策についての理解を深め,体育授業における生徒の主体的な学びに資する基礎資料を得ることを目的とする。
Ⅲ.方法
(1)調査対象
 千葉県公立中学校1〜3年生421名を分析対象とした。
(2)調査内容
 質問は、予備調査から得られた「できない」,「見本」,「失敗」,「見られる」,「苦手」,「テスト」,「発表」,「ペア」の8因子から類似回答をまとめることで37項目を作成した。
(3)分析方法
 探索的因子分析を用いて恥ずかしさの要因を特定し、性差や学年差に関する検討には二要因分散分析を用いた。有意水準は5%とした。
Ⅳ. 結果
 中学生の体育授業における恥ずかしさの要因として、「失敗した時、見本になった時」、「低いパフォーマンスを見られた時」、「結果が良くない時」、「ダンスでの発表の時」の4因子が抽出された。また、性差や学年差を統計的に検討した結果、女子が恥ずかしさを感じやすい傾向にあった(p<0.05)。
Ⅴ.考察
 中学生が体育授業で生まれる恥ずかしさは、主に自己評価と他者評価に関連しており、自身の実力が不足している場合や他者からの評価が厳しい場面で発生するという構造が見えてきた。特に女子生徒は、この恥ずかしさをより感じやすい傾向にある。教師は、性差を理解し、授業内で生徒が注目を集める場面では言葉の選び方に配慮しつつ、同時に、他者からの注目に対して生まれる「恥ずかしさ」や「緊張」という感情について、それを受け止める力を育むという視点を持つことが主体的な学びを促す点において重要であることが示唆された。

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