講演情報

[学校保健体育-B-25]リズムダンスの身体知獲得プロセスに関する一考察(教)

*古薮 直樹1、白井 麻子1、山口 晏奈2 (1. 大阪体育大学、2. 日本福祉大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード
学校教育現場でダンスが必修化されてから10年以上が経った現在も、ダンス指導に関する不安感や悩みが解消されることは少ない。本研究では、現代的なリズムのダンスにおいて「リズムにのる」という運動感覚の理解を深め、リズムダンス指導のために有効な視点を明らかにすることを目的とする。 
 対象者は大学生14名で、うちダンス経験者は4名でそれ以外はダンス授業のみの経験であった。実験の手続きは次の通りである。対象者はリズムダンスの振付を4つ習い、リズム無し(無音状態)と速さの異なる音楽BPM(95.108.120)の4条件で踊り、その様子を撮影した。また、対象者は運動後に自己評価をし、それを元にインタビュー調査をした。実技評価は、3人の舞踊専門家が撮影された映像を視聴しリズム感、振付の流れ、動きの大きさの3項目で評価した。
 実技評価の結果、高群3人、中間群8人、低群3人に分類できた。低群は、4つの振付で動きが途切れており、音楽のカウントと動きのタイミングを合わせることが出来ていなかった。特に跳ねる動作とその後の動きにリズムのつまづきが見られた。インタビュー結果より、低群は、無音では「自分のリズム、ペースで踊れたので踊りやすかった」が、音楽と合わせると「頭の中のリズムと違い難しかった」などの音楽のリズムとの同調に難しさを感じていた。高群は音楽の区切りやカウントを理解でき、「無意識に体が反応した」などの語りがあることから、リズムを含めた動きの習得が出来ていたのに対して、低群は振付を身体の形で覚え、動き方と動きのリズムを別に捉えている状況が確認された。すなわち対象者自身がリズムを、身体を動かしながら知覚する段階が必要であることが考えられる。さらに頭で考えている自分のリズムに音楽のリズムをリンクさせることも必要である。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン