講演情報

[学校保健体育-A-20]体育指導における小学校教師の技術認識の実態に関する研究(教)マット運動「開脚前転」を視点として

*鈴木 健一1,2、鈴木 聡3、小島 大樹1、藤山 健太1、戸田 圭美1 (1. 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科、2. 埼玉学園大学、3. 東京学芸大学)
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体育指導においては,目標となる運動・技にかかわる教師の認識を前提に,言語や示範,映像などからその運動・技の技術情報が教示される。しかし,全科を担う小学校教師が個々の運動の技術を十分に認識して指導することには限界があると推察される。また必ずしも,教職経験の豊富さが運動の認識内容・量の充実につながるとは限らないことを指摘する先行研究も見られる(厚東,2011)。具体的な運動経過に対する問題点の指摘とその解決方法の提示といった一連の指導過程に対して,教師の技術認識を視点とした研究は管見の限り見当たらない。そこで本研究は,特定の運動経過から問題点を見抜き,その解決方法を示すための技術認識の実態を把握し,小学校教師の技術認識を広げ,深めるための知見を得ることを目的とした。
 小学校教師239名を対象にマット運動指導にかかわる質問紙調査を実施し,因子分析したところ,「指導効力感」,「即時の判断と対応」,「具体的な解決方法」の3因子が抽出された。鈴木(2010)による教職歴(初任期・中堅期・ベテラン期)を従属変数として分散分析したところ,すべての因子において中堅期が初任期よりも有意に高い得点を示し,中堅期とベテラン期には差が見られなかった。また,つまずきの見られる開脚前転の運動経過から,問題点とその解決方法について自由記述で回答を求めたところ,30.1%にあたる72名が問題点を取り上げ,それに対する一連の解決の手だてを認識していた。膝の屈曲を問題点と見抜き,重ねたマットの場でゆりかごから開脚立ちをする解決方法を提示する記述が多い一方で,より大きく開脚することを求める記述も見られるなど,約70%の教師の技術認識が十分ではないという課題が見出された。発表では,問題点の認識から一連の解決方法を検討した考察を含め,その詳細を報告する。

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