講演情報

[学校保健体育-A-24]運動部活動で「自治」を重視してきた教師の指導観形成過程に関する研究(教)地域移行に向かう検討視点として

*谷垣 悠矢1、鈴木 聡2 (1. 東京学芸大学 教職大学院、2. 東京学芸大学)
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運動部活動では、2023年度から地域移行が進められているが、指導者や施設の確保、地域での受け皿など多くの課題が残っている(友添、2023)。運動部活動に関する研究を概観すると、中澤(2011)は運動部活動が抱える諸問題として、競技志向に偏り過ぎることは子どもの権利や主体性を損なうだけでなく、怪我や障害、しごき、体罰などを引き起こすことを指摘した。これに対して神谷(2016)は、これまで運動部活動には具体的な教育内容が明示されてこなかったと述べた上で、今後は「自治内容」が教育内容となることを提唱している。
 運動部活動の「自治」については、城丸(1975)、中村(1979)、内海(1998)、神谷(2015)らがその必要性と教師の関わりの重要性を提唱してきた。また、教師による「自治」を重視した運動部活動の実践も報告されている。例えば森(1987)は、生徒に練習や試合の運営だけでなく、保護者会や部独自の行事の運営を経験させている。また制野(2013)は、基本的な練習メニューは教師から提示したうえで、試合や練習の反省から自分たちでメニューを組むよう指導している。このように、「自治」のレベルや範囲は様々である。地域移行が進められる中でも平野(2023)は、課題に対する策として「自治の力」を育てる指導を提唱している。ところで沢田(2001)は、教科に対する価値規範の形成について、その過程に着目することで、基礎理論の発達が期待できると述べている。運動部活動指導においてもその指導観がいかにして形成されてきたかを検討することは、その在り方が変容していこうとしている現在において必要であると思われる。
 そこで本研究では、「自治」を重視してきた教師にインタビュー調査を行い、その指導観の形成過程を明らかにするとともに、今後の運動部活動の在り方について検討することを目的とする。詳細は発表において報告する。

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