講演情報
[学校保健体育-B-31]初年次体育授業の主観的恩恵評価尺度の短縮版の作成(心)PBS-FYPE15およびPBS-FYPE10の比較検討
*西田 順一1 (1. 近畿大学)
中教審による学士課程答申の発表以降、高等教育での学修成果の把握が重要課題とされ、科目レベルにおいても検証や可視化が進められてきた。大学体育科目は実践的かつ体験的な活動を通して、様々な学修成果が得られる可能性が示されてきた。その中でも、心理的概念による学修成果の把握に関しては汎用的指標に加え、体育授業特有の指標が用いられてきた。後者については、「初年次体育授業の主観的恩恵評価尺度(PBS-FYPE:西田ほか,2016)」が作成され、信頼性や妥当性が示されてきた。以降、主観的恩恵と大学適応感との因果関係やCOVID-19第1波流行直後における主観的恩恵、また主観的恩恵修得の条件が解明される等、PBS-FYPEの活用により有効な知見が得られてきた。今後、より簡便かつ妥当に体育授業の学修成果を評価するには項目数を抑制し、回答負担を軽減する方が望ましい。以上より、本研究ではPBS-FYPE短縮版を作成し信頼性を確認すること、および心理的指標との関連を検討し、PBS-FYPE短縮版の特徴を明らかにすることを目的とした。対象者は大学での一般・教養体育科目を履修した学生であった。調査内容は、「PBS-FYPE」、「大学体育実技経験評価尺度」等であった。調査は対面またはWebにより実施し、適切な回答が得られた9,083名を解析対象とした。まず、項目分析等の結果より、各因子3項目にて構成される「PBS-FYPE15」および各因子2項目にて構成される「PBS-FYPE10」の2つの短縮版が作成された。両短縮版とPBSとの相関分析の結果、非常に高い値が得られた。また、信頼性分析の結果、PBS-FYPEと同程度の十分な値が得られた。上記の両短縮版尺度の活用より大学体育授業の主観的恩恵をPBS-FYPEと同等に評価できることが示唆され、両短縮版使用の意義や今後の課題等について議論を行う。
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