講演情報

[健康福祉-A-05]能登半島地震避難所生活者の体力について(測,方,発)高齢者の足部機能に注目して

*宮口 和義1、畝本 紗斗子2 (1. 石川県立大学、2. 金沢工業大学)
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震災後、かなりの時間が経過しているが、依然として多くの者が避難所生活を送っている。明らかに平常時とは異なる生活を強いられている。避難所であるが故に他人の迷惑にならないよう行動することが増え「与えられたスペースから動かない」「やることがないのでじっとしている」など不活動になりやすくなっている。特に高齢者はこの傾向が強い。不活動が続くとADLが低下し、避難所生活終了後すみやかに日常生活に戻れなくなるばかりか、避難所生活をきっかけに要支援・要介護状態になることもあり得る。また、各避難所ではスリッパを履いている者が多く、特に高齢者は“すり足”になっており、足腰が衰えているという報告を受けた。本研究は不活動に陥りやすい避難所高齢者を対象に、特に足部機能の現状を調べるとともに有効な運動プログラムを提案することを目的とした。対象者は震災直後から5か月間、避難所(3施設)で生活を送っている高齢男性12名、女性31名の計43名(75.2±8.1歳)であった。測定項目として静止立位時の足圧分布(フットビュークリニック:ニッタ)、足趾狭力(チェッカーくん:日伸産業)、内転筋力(内転外転筋力測定器Ⅱ:竹井機器)を測定した。近年、浮き趾が問題になっており、性別や年齢を問わず増加していることが報告されているが、本対象者で浮き趾を有する者はほんの僅かであった。一方、足趾狭力および内転筋力の衰えが認められた。足趾挟力の基準値について、山下ら(2008)は 健常高齢者と虚弱高齢者を比較し、転倒リスクを高める閾値は男性3.0kgf以下、女性2.5kgf以下と設定しているが、今回の測定で基準値に満たない者が58.1%認められた。また、内転筋力についても基準値に比べ「やや劣っている」「劣っている」と判定された者は27.9%であった。今後、上記症例に実績のある草履サンダルを提供し経過観察していく。

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