講演情報
[健康福祉-B-10]神経発達症の児童における原始反射の残存度と運動介入による変化(発)
*広瀬 統一1、田代 優輝2、蘆田 幸一郎2、高崎 睦也2 (1. 早稲田大学スポーツ科学学術院、2. 株式会社Gotoschool)
神経発達症児童に一定の割合で原始反射が残存し、様々な行動特性の一要因となる可能性が報告されている。また、残存する原始反射は運動介入で統合される可能性も示唆されている。しかし本邦の神経発達症児童における関連情報は少ない。そこで本研究は神経発達症児童における原始反射の残存度と運動介入による短期的変化について検討することを目的とした。対象は運動指導を中心とした事業所に通う、医師により注意欠如多動症(ADHD)あるいは自閉症スペクトラム症(ASD)と診断された児童各10名とした(7.6±1.8歳)。調査実施期間は3か月間とし、原始反射と協調運動はプレ、1、2、3か月後に、粗大運動と社会行動発達指標はプレと3か月後に評価した。原始反射の測定はSallyらの方法と項目に準拠した。また、粗大運動として20m往復の踵歩行、爪先歩行と課題遂行時の副運動、開眼・閉眼片足立ち、片足跳躍運動を、協調運動として手指の対立運動、前腕の回内外運動、眼球追従運動、眼球跳躍運動の成否と副運動を評価した。行動特性はConners-2とSRS-2の質問紙票を保護者に回答してもらうことで評価した。統計分析は項目によりχ2乗検定、T検定および繰り返しのある二元配置分散分析とBonferroniテストを用いて行った。統計学的有意水準は5%未満とした。 立位の緊張性非対称性頸反射は両群ともに55%に確認され、3か月後はADHD群では9%、ASD群では45%の残存率であった。また左右の眼球跳躍運動も近似した傾向を示した。なお、3か月後のSRS-2のRRBスコアがプレに対して低値を示した(p<0.05)。本研究の結果から、本邦のASDやADHDと診断された児童の一定の割合で学齢期でも原始反射が残存することが示された。また、定期的な運動実施により原始反射が統合される可能性があるものの、項目間の差や特性差があることが示された。
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