講演情報

[生涯スポーツ-B-06]部活動の地域移行に対する行政職員の態度に関連する要因(経)

*林田 敏裕1、清水 紀宏1 (1. 筑波大学)
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子どものスポーツ振興システムが部活動の地域移行を契機に大きく変わりつつある。実際、休日に関しては子どもが地域スポーツクラブで活動する市区町村自治体や学校も現れはじめた。学校教育の一環としての部活動が子どもの主たるスポーツ生活の場となってきた歴史的経緯を踏まえると、この政策の成否は子どものスポーツ生活のあり方に甚大な影響をもたらすことが予測される。
こうしたスポーツ環境の転換期において、市区町村自治体における行政職員の役割は極めて大きい。なぜなら、地域移行の推進を担う行政職員は様々なスポーツ団体との連絡調整や協働の促進などの役割を果たすことが求められているためである。その意味で、地域移行に対する行政職員の態度やその態度と関連する要因を探求することは、地域移行をめぐる行政の課題を検討する上でも重要な課題となる。そこで本研究は部活動の地域移行に対する態度に関連する要因を明らかにすることを目的とする。
調査は2023年11月から12月の期間に852市区町村自治体を対象に実施し、部活動の地域移行に関わる業務を主として担っている行政職員に回答を求めた。分析に用いたサンプルは418となった。主な分析結果は以下の通りである。まず、地域移行に対する態度の測定項目の単純集計を行ったところ、8割程度の行政職員が地域移行を積極的に進めようとする意欲を有していた。だが、地域移行がもたらす成果に期待している者は4割ほどであった。次に、関連する要因を分析した結果、総人口の多い自治体に勤める者や指導主事が地域移行に対してポジティブな態度を有する傾向にあった。これらの結果を踏まえて、多くの行政職員がその必要性に確信をもてないままに地域移行を推進しようとしている状況を指摘した上で、このような状況で展開される地域移行政策に対して批判的検討を加える。

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