講演情報
[学校保健体育-A-02]米国における保健体育カリキュラム改訂の動向(保,教)保健と体育の関連に着目して
*植田 誠治1 (1. 聖心女子大学)
保健体育科教育における保健と体育の関連の検討は古くて新しい課題である。米国では2015年12月連邦政府・初等中等教育法に、保健と体育の両方が主要な教科として位置づけられ以降、保健と体育の関連を積極的に検討する動向が認められる。1990年代に芸術、国語、理科、体育、保健など様々な教科の背景にある学問分野において、児童生徒が何を知りできるようにするかを特定するナショナル・スタンダードが作成された。米国保健体育教師協会(SHAPE America)は、保健のスタンダード(NHES)の版権を取得し、保健と体育の両方のスタンダードを改訂する作業に着手。2023年に草稿案が示され意見収集の後2024年3月の年次大会にて公表するに至った。ニュージャージー州では、7つの教科領域からなるコアカリキュラム基準を制定。その1つが「総合保健体育」である。2020年改訂「総合保健体育」では、健康とメンタルヘルス、身体のウェルネス、安全という3つの柱に13領域の内容が示されている。マサチューセッツ州では、2018年から1999 年版「保健フレームワーク」の改訂作業に着手。2023年に「総合保健体育フレームワーク」を提示するに至った。そこでは健全な人間関係、精神的・感情的健康 、栄養とバランスの取れた食事、個人の安全、身体活動とフィットネス、身体の健康と衛生、公衆衛生・地域保健・環境保健 、セクシャル・ヘルス、薬物の使用と誤用の内容が示されている。カリフォルニア州においても、例えばサンディエゴ学校区では、SHAPE Americaでのカリキュラム改訂動向が2024年4月の保健体育のニューズレターで紹介され、州法の要件を満たしつつ、学習を有意議なものとするよう応用する重要性が示された。保健体育科、体育科(運動領域・保健領域)という教科形態を持つ本邦への示唆を得るうえで、米国の動向検討は意義あることと思われる。
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