講演情報

[競技スポーツ-B-01]中央競技団体の事業マネジメント担当者が抱える問題点の検討(政)中央競技団体の組織規模の違いに着目して

*山下 修平1、和久 貴洋1,2、杉田 正明3、尾縣 貢2 (1. 国立スポーツ科学センター、2. 筑波大学、3. 日本体育大学)
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公費が投入される競技力向上事業において、事業推進体制が適切に整備できず、計画した方策を実施しきれない中央競技団体(NF)は、期待した成果を創出できていないことが課題視されている。その背景には、多くが小規模組織であるNFは定常的な人手不足であり、組織能力を向上させるための事業マネジメントに目を向ける余裕がないという課題がある。また、NFにおいて強化事業をマネジメントする人材についての研究は見当たらず、組織規模が小さいNF が実施する選手強化活動において行われる事業マネジメントの問題点についても明らかになっていない。そこで、本研究はNF の強化事業において事業マネジメントの担当者が抱えるマネジメント業務における問題点を明らかにすることを目的とした。本研究では、戦略的強化事業を実施するNFの事業マネジメント担当者14名を対象とし、マネジメント業務における能力発揮に関する自己評価について調査した。小規模NFの事業マネジメントの現状を明らかにするために、対象者を小規模NFの事業マネジメント担当者と大規模NF事業マネジメント担当者に群分けし、その能力発揮に関する自己評価について比較した。また、知識ごとの差異を確認するため、知識エリアごとでの比較も行った。その結果、小規模NF群は大規模NF群よりもマネジメント業務での能力発揮に関する自己評価が有意に低い値を示した。また、知識エリアごとの比較では、コミュニケーションに関する自己評価について、小規模NF群は大規模NF群よりも有意に低い値を示した。これらのことから、小規模NF の事業マネジメント担当者は、大規模NF の担当者と比べ、事業のマネジメント業務において自身の能力を発揮できていないと捉えており、特に、コミュニケーションにおいて手ごたえを得ることができていないことが示唆された。

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