講演情報

[競技スポーツ-B-04]我が国におけるアスリート・キャリア政策の特質に関する一考察(政,経)キャリア形成支援に係る政策の変遷および研究動向を手がかりに

*阿部 拓真1、木村 和彦2、作野 誠一2 (1. 大正大学、2. 早稲田大学)
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我が国のアスリート・キャリア政策が保健体育審議会「21世紀に向けたスポーツの振興方針(1989)」の答申において初めて公示されてから約35年経とうとしている。しかしながら、依然としてアスリートのキャリア危機は随所にみられ政策問題として解決するところまでは至っていない。そもそも、政策問題には複雑性という特性があり容易には解決できないといわれている(秋吉,2010;宮川,1994)。当研究で扱うアスリート・キャリア政策の背景は、競技とスポーツが分離されたエリートスポーツ体制である欧州や北米とは異なり、我が国特有ともいえる競技と教育が密接に絡み合うエリートスポーツ体制のもとで展開されてきたと思われる(阿部ほか,2021)。また、アスリート・キャリア政策を包含するスポーツ政策においては、政策の優先順位が決して高いとはいえないながらもスポーツ世界に対する社会の関心や需要が高く、政府との関わりを生み出していることや(中村,2006)、文化政策と同様の傾向として、政策決定過程における科学的根拠の取り扱いについて道具的正当化がなされている可能性がある(阿部ほか,2022)。このように各政策において特質があると考えられる。
 アスリート・キャリア政策の特質を捉えるうえで、もうひとつ着目すべき政策領域がキャリア形成支援に係る政策である。これらの政策の特質について、村上(2016)は、キャリア教育を政策として捉えたときその内容は非常に多岐に渡り、多義的であるとしている。当政策領域の特質に着目することでアスリート・キャリア政策における特質の一端を明らかにすることができると考えた。
 以上のことから、本研究ではキャリア形成支援に係る政策の変遷および研究レビューを通して、当政策の特質を手がかりにアスリート・キャリア政策の特質について検討することを目的とする。

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