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[04生-口-08]働き世代における日々の心理状態の客観的な指標としての握力評価の可能性縦断研究

*田上 友季也1、家光 素行1、村上 晴香1 (1. 立命館大学)
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【背景・目的】握力の低下はうつ病や不安症の発症と関連していることが報告されていることから、握力が心理状態の客観的な指標としての可能性が示唆されている。一方、健康な人においても日々の心理状態と握力が関連するかは不明であることから、本研究は健康な人における日々のネガティブな心理状態と握力との関連を縦断的に検討するとともに、ポジティブな心理状態との関連についても明らかにすることを目的とした。【方法】働き世代の健康な成人男女36名が、心理状態の評価および握力測定を起床後および就寝前に8週間、毎日自宅で実施した。心理状態の評価は、感情・覚醒チェックリストを用いて、感情因子(恐怖、怒り、悲しみ、嫌悪、喜び)および覚醒因子(エネルギー覚醒プラス/マイナス、緊張覚醒プラス/マイナス)を評価した。握力は左右2回ずつ測定し、左右それぞれの最大値を平均した。心理状態と握力との関係は、個人間の変量効果を考慮するため、線形混合モデルを用いて検討した。【結果】起床時のネガティブな心理状態は、起床時の握力と負の関連が認められた(怒り:β=−0.517、悲しみ:β=−0.735、嫌悪:β=−0.616、エネルギー覚醒マイナス:β=−0.888、緊張覚醒プラス:β=−0.452、いずれもp<0.05)。一方、起床時のポジティブな心理状態は、起床時の握力と正の関連が認められた(喜び:β=0.473、エネルギー覚醒プラス:β=0.430、緊張覚醒マイナス:β=0.453、いずれもp<0.05)。就寝時においても、起床時と同様にネガティブな心理状態は握力との負の関連が認められ、ポジティブな心理状態は握力との正の関連が認められた。【結論】健康な成人において日々のネガティブ・ポジティブな心理状態は、共に握力と関連していたことから、握力評価が健康な成人の心理状態においても客観的な評価指標となる可能性が示唆された。

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