講演情報

[08測-口-09]ウィンドミル投法における投球数増加が球質変化に及ぼす影響

*武蔵 美優1、三上 弾2,3、山口 真澄3、大田 穂1,3 (1. 順天堂大学、2. 工学院大学、3. NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
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ソフトボール競技は“投高打低”と言われており、競技レベルが高くなるほど得点が難しく、ロースコアな試合展開になりやすい。また、1人の投手が1試合を投げきること(以下、完投)が多く、2023年度に開催された国内トップリーグ(以下、JD.LEAGUE)において、完投試合は全238試合、延べ476チームのうち143チーム(30%)であった。その一方で、失点のタイミングを検討すると、最多回は最終回である7回、次いで6回、最多球数帯は90球から110球であり、試合終盤に失点が増える傾向にあった。しかし、これは、試合終盤に投手の球質が変化する影響によるものなのか、打者が投手の投球に適応した結果によるものなのかは明らかにされていない。そこで本研究は、ウィンドミル投法による投球において、投球数が増加するにつれ、どのような球質変化が生じているのか明らかにすることを目的とした。
 対象者は、大学女子1部リーグおよび2部リーグに所属する公式戦での完投経験を有する投手とした。正規の投捕間距離(13.11m)から、119球(17球;JD.LEAGUEにおける完投試合の1イニング平均投球数×7回)をウィンドミル投法によって投球させた。全119球の球速、回転数、回転軸、コントロールを評価した。また、測定中は心拍センサーを用いて心拍数を測定した。毎回終了後の休憩中に主観的運動強度を測定し、投手、捕手に所感を聞き取り調査した。
 分析の結果、投球数が増加するにつれ、ストレートの球速が低下する傾向が見られた。また、投球数が増加するにつれ、ストレートと変化球の球質差が小さくなる傾向も見られた。これらの結果より、投球数の増加によって球質が変化しており、ストレートと変化球の差異が縮小していることが示唆された。

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