講演情報
[08測-口-10]身体活動に対する気分変化の個人差コア・アフェクトの個人変動に注目して
*高橋 信二1 (1. 東北学院大学)
一過性の身体活動は、快感情を維持しつつ、心理的覚醒水準を増加させる効果を有することが知られている。一方で、快-不快の水準(快適度)と覚醒-鎮静の水準(覚醒度)の二次元で情動を説明するコア・アフェクト理論を用いた研究では、快適度と覚醒度の変動には個人差があり、快適度および覚醒度の変動が大きい個人は心理的健康を損ないやすいことが示唆されている。身体活動に対する快適度と覚醒度の変化にも一定の個人差があると考えられるものの、これまでに身体活動に対するコア・アフェクの変化の個人差は量的に評価されていない。そこで、本研究では、2つの身体活動(走行とバドミントン)前後のコア・アフェクトを分析し、身体活動前後のコア・アフェクトの変化の個人差を評価することを目的とした。対象者は健康な男子大学生24名であった。2つの身体活動前後で対象者の快適度と覚醒度を測定した。走行とバドミントンは同一強度(約75%VO2max)であった。混合モデルにより、「対象者」、「対象者×身体活動(歩行とバドミントン)」、「対象者×時間(活動前後)」を変量効果、「身体活動」と「時間」および「身体活動×時間」を固定効果とする二要因ANOVAモデルを解析した。変量効果から「被験者×時間」の級内相関係数(ICC)を快適度と覚醒度で、それぞれ、算出した。快適度における身体活動前後の個人差はICC = 0.634(95%信頼区間[CI]:0.464 - 0.792)であり、覚醒度における身体活動前後の個人差はICC = 0.364(95% CI:0.208 - 0.536)であった。信頼区間を考慮すると、有意な差異は認められないものの、快適度の方が覚醒度よりも個人差が大きい傾向にあった。身体活動による快感情の変化は個人により大きいことが示された。
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