講演情報

[08測-口-11]体操競技選手のための手首の障害予防に寄与する簡易的スクリーニングテストの開発とその検証に関する研究

*吉田 宗暉1、植村 隆志2、小河原 慶太2 (1. 東海大学体育学研究科、2. 東海大学体育学部)
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スポーツ障害とは骨や筋肉、関節などに負荷が加わって引き起こされる外傷であり、競技特有の疾患が多い。体操競技では下肢運動に加えて、腕で全体重を支えるなどの上肢運動も組み合わさるため、腰や肩、手首などに障害が生じやすい。理学療法では腰、肩などのメディカルテストなどは多数存在する。しかし、体操競技の怪我が多い手首のテストはあまり見当たらない。本研究では手首の痛みを予測する可能性を探るべく、項目を独自で開発し、その項目が手首の痛み度を示す指標となるかを検討した。研究対象者は大学体操競技男子選手38人(年齢:19.8±0.83歳、競技歴:13.1±2.70年)とした。本研究では受傷歴の調査とスクリーニングテストを行った。受傷歴の調査については手首の痛みの有無を聞いた。また、痛みが現在も続いていると答えた方にはVisual analog scaleを用いて痛み度を調査した。計測内容は体幹部の回旋(上半身、椎間関節、骨盤)、前屈、後屈、肩関節の屈曲、伸展、外転、外旋角度、手関節の背屈、掌屈など計11項目とした。それぞれの計測項目から左右差もそれぞれ算出した。分析には手首の痛み度を従属変数に、受傷歴、計測項目などを独立変数として投入し、ステップワイズ法による重回帰分析を行うことで、手首の痛みに起因している項目を抽出し、オッズ比を算出した。統計処理ソフトは最新版EZRを使用し、有意水準は5%とした。結果、軸手側の手首の痛みは競技歴、掌屈角度(軸手)、掌屈角度の左右差、手首の可動域全体の左右差に影響を及ぼしていた。調整済みR²は0.2を示した。また、p=0.016と本モデルの予測精度が保証された。本結果から手首の痛み度を示す項目には手首の可動域を計測する項目に多い傾向が考えられた。しかし、どの項目も回帰係数が低い値を示したことから手首の可動域を計測する項目を増やし、精度をより高めていきたい。

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