講演情報

[01史-口-01]近世薩摩における「男色」と「身体的活動」の関係性士族の青少年の教育機関「兵児二才」に焦点を当てて

*新田 理花子1 (1. 筑波大学)
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近代のスポーツ文化は、当初より男性による実践を前提として発展してきた強固な男性ジェンダー(ホモソーシャルな領域)であることがこれまでの先行研究で明らかにされてきた。西欧におけるホモソーシャルは、男性同士の性的接触はタブー視され、異性愛を基本としてきた。すなわち、近代スポーツは人々のジェンダーだけでなくセクシュアリティ(性的指向)にも影響を与えてきたのである。そして、明治以降の我が国においても、これらの西欧の価値観・文化が移入され発展してきた。
 一方、近世以前の日本では「男色」という男性同士の性愛文化が明確に存在しており、それを通して男性同士のホモソーシャルな領域を創り上げてきたと言われている。つまり、西欧のスポーツ実践を通して理想としてきた男性像とは異なる男性像が、近世以前の日本には存在していたのである。また、近世末期から近代初期において先頭立って明治維新を進めていった薩摩出身者たちは、当時の日本の中でも特に強い男色傾向を有していた。
 そこで本発表では、近世薩摩藩の青少年の教育機関「兵児二才」における「男色」の実態とそこで行われていた身体鍛錬や祭儀といった「身体的活動」の関係性を歴史的史料に基づいて紹介していく。

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