講演情報
[01史-口-06]戦後初期における学校体育に関する研究東京第一師範学校女子部付属小学校における体育授業研究に着目して
*小松 恒誠1 (1. 山形大学)
本研究の目的は、戦後初期における東京第一師範学校女子部附属小学校(以下, 「第一附小」)の体育科カリキュラム研究の展開を明らかにすることである。第一附小は、文部省より「学習指導要領小学校体育編」(1949年)草案の適否を検討するために実験校として指定を受けて、1947年から体育科におけるカリキュラム研究に取り組んでいる。この要領の特徴は、「どんな教材を教師が選ぶかは教師が決定するべきであること」とし、「現場の学校の参考資料であることを一そう強調」するために「教材選択の基準」が示され、「現場の学校が教材を決定し, 計画を立てるという新しい考え方」に基づいた体育実践が奨励された点にある(竹之下・岸野, 1983, p.257)。こうした教師による自主的な教材選択と計画立案の励行は、教師の目をつよく子どもやその環境の実態に向けさせると同時に、「学校のカリキュラム構成に必要な資料を得るための子どもの「実態調査」の流行を生み出したと言われる。実験学校として流行に先駆けて「実態調査」に基づくカリキュラム研究に取り組んだのが第一附小であり, その実践は試案としての学習指導要領によって「教材選択権」(中村, 1997, p.28)が教師に保障された戦後初期を象徴する取り組みであったと言える。本発表では第一附小の体育のカリキュラム研究の展開を明らかにするとともに、その歴史的意義・限界について考察する。
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