講演情報

[00哲-口-06]21世紀におけるアンチ・ドーピング教育の方向性について生命科学の進歩とELSIの視点から

*竹村 瑞穂1 (1. 東洋大学)
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ドーピングの歴史を振り返ると、興奮剤や血液ドーピング、筋肉増強剤などその時代によって主流となった素材や手法が変化してきている。21世紀に入ると遺伝子治療技術を援用した遺伝子ドーピングが懸念の対象となってきた。WADAが発行している「アンチ・ドーピング規程」および「禁止表国際基準」を確認すると、現在、遺伝子ドーピンに関して禁止の対象とされているのは基本的に遺伝子等の操作、改良に限定されており、個人の遺伝情報の収集やその応用については禁止対象外であることが読み取れる。
 競技者の遺伝情報を収集することによって競技力を強化することが国内外で注目される一方で、それに付随する倫理的問題性は少なくなく、場合によっては、今後それは、禁止されるドーピング手法に含まれるかもしれない。正当かつ健全な倫理的枠組みをもとにしたアンチ・ドーピング教育の在り方を模索することは、スポーツ科学における遺伝研究やアンチ・ドーピング研究を促進するのみならず、競技者を守ることにもつながるであろう。
 本発表では、ELSI(倫理的、法的、社会的課題)の視点から遺伝子ドーピングやスポーツと遺伝の研究に伴う倫理的問題について整理し、また、今後アンチ・ドーピング教育において展開していくべき新たな内容について提案したい。

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