講演情報
[00哲-口-08]クリケットするホモ・ルーデンス文化哲学の生成、「心身の尽力Spiritual Exercise」、そしてスポーツの価値
*林 洋輔1 (1. 大阪教育大学)
クリケットから新たな文化哲学、スポーツ哲学の議論を興す。世界で蹴球に継ぐスポーツとも言われるクリケットは、その競技人口が数億人を数える。他方、日本社会でクリケットは目立った位置を与えられておらず、クリケットを扱った学術研究も他競技のそれに比して僅少である。本発表ではスポーツに拠する文化哲学の新たな視座としてクリケットを採り、以て「スポーツの価値」に対する新たな回答を提出する。
クリケットの先行史を和洋文献から俯瞰するならば、まずは競技発祥地である英国からの伝播の軌跡および現地文化との混成過程、さらにクリケットが近代化した現在と今後の展望が論じられている。端的に言えば、社会学と政治学、そして人類学の視点からクリケットをめぐる議論の進捗を邦文献の範囲で確認できる。他方で英語文献を瞥見するならば、主に文学や歴史学の視点から発祥国(英国)の文化に根ざした言及や議論が多く見られる。発表では以上の研究史を踏まえ、体育学人文系の古典『ホモ・ルーデンス』やその補完役である『遊びと人間』、さらに発表者が概念装置として開発を進める「心身の尽力Spiritual Exercise」より「クリケットに発するスポーツの価値と文化哲学」の問い方、組み方を論じていく。
結論として示される「スポーツの価値」とは「尽力する人間を創る」、言うなら「現代と未来に望まれる人間像を生成・実現する」ことにその価値の実質が存する。クリケットにより創られ(て来)る人間とは競技を愉しむ「遊び心」を基とし、目標に向けて「心身の尽力」を遂行する人間である。そしてこの結論が、文化哲学の新たなアプローチの出立点となる。
クリケットの先行史を和洋文献から俯瞰するならば、まずは競技発祥地である英国からの伝播の軌跡および現地文化との混成過程、さらにクリケットが近代化した現在と今後の展望が論じられている。端的に言えば、社会学と政治学、そして人類学の視点からクリケットをめぐる議論の進捗を邦文献の範囲で確認できる。他方で英語文献を瞥見するならば、主に文学や歴史学の視点から発祥国(英国)の文化に根ざした言及や議論が多く見られる。発表では以上の研究史を踏まえ、体育学人文系の古典『ホモ・ルーデンス』やその補完役である『遊びと人間』、さらに発表者が概念装置として開発を進める「心身の尽力Spiritual Exercise」より「クリケットに発するスポーツの価値と文化哲学」の問い方、組み方を論じていく。
結論として示される「スポーツの価値」とは「尽力する人間を創る」、言うなら「現代と未来に望まれる人間像を生成・実現する」ことにその価値の実質が存する。クリケットにより創られ(て来)る人間とは競技を愉しむ「遊び心」を基とし、目標に向けて「心身の尽力」を遂行する人間である。そしてこの結論が、文化哲学の新たなアプローチの出立点となる。
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