講演情報
[12人-口-09]武術と地域社会との関係を論じるための一考察沖縄における空手と人びとの関わりを中心として
*田邊 元1、中嶋 哲也2 (1. 富山大学、2. 茨城大学)
本発表は、現在沖縄県が主導してユネスコ無形文化遺産登録(以下、「ユネスコ登録」と略す)を目指している「沖縄空手」について、地域社会との関わりを中心に、現在の位置づけを明らかにしていくものである。
沖縄県は2015年度以降、沖縄の空手について「沖縄空手」という名称を用いることで、県内の空手流派の統一やブランド化を進めてきた。沖縄空手の名称誕生以降、「空手ツーリズム事業」の展開、「聖地」としての沖縄イメージの定着、世界大会の継続的な開催、「空手の日」を制定などの県民に対するアピールなど、県行政を中心とした沖縄空手の展開が盛んに行われている。沖縄空手のユネスコ登録推進も、行政が中心となり実施している事業の一つである。もちろん、ユネスコ登録自体が政治的な取組であり、観光産業に対する影響も大きいことは、近年様ざまに議論されるところである(飯田(2017)など)。観光産業を中心として発展を目指す沖縄県にとって、沖縄空手のユネスコ登録は県行政における政治的な取組であることは言うまでもない。
では、沖縄空手はいかにして対象化されたのであろうか。本発表では、こうした政治的な取組に対して、武術と地域社会との関係に注目する。周知のとおり、近年のユネスコ登録は「生活文化」との関りが強調される。しかし、日本の武術、とりわけ古武道と称され伝承されるものの多くは「生活文化」としての側面は後景化されており、実践者の多くは趣味として実践する人びとであり、関心を向けるのは限られた人びとであろう。そのため、武術と地域社会の関係について論じる視点は、これまでほとんど見られてこなかった。では、空手は沖縄の人びとにとって、どのような存在なのだろうか。本発表では、2018年以降断続的に継続してきた聞取りを中心に、その一端を示すことで、沖縄における空手の位置づけを明らかにしていきたい。
沖縄県は2015年度以降、沖縄の空手について「沖縄空手」という名称を用いることで、県内の空手流派の統一やブランド化を進めてきた。沖縄空手の名称誕生以降、「空手ツーリズム事業」の展開、「聖地」としての沖縄イメージの定着、世界大会の継続的な開催、「空手の日」を制定などの県民に対するアピールなど、県行政を中心とした沖縄空手の展開が盛んに行われている。沖縄空手のユネスコ登録推進も、行政が中心となり実施している事業の一つである。もちろん、ユネスコ登録自体が政治的な取組であり、観光産業に対する影響も大きいことは、近年様ざまに議論されるところである(飯田(2017)など)。観光産業を中心として発展を目指す沖縄県にとって、沖縄空手のユネスコ登録は県行政における政治的な取組であることは言うまでもない。
では、沖縄空手はいかにして対象化されたのであろうか。本発表では、こうした政治的な取組に対して、武術と地域社会との関係に注目する。周知のとおり、近年のユネスコ登録は「生活文化」との関りが強調される。しかし、日本の武術、とりわけ古武道と称され伝承されるものの多くは「生活文化」としての側面は後景化されており、実践者の多くは趣味として実践する人びとであり、関心を向けるのは限られた人びとであろう。そのため、武術と地域社会の関係について論じる視点は、これまでほとんど見られてこなかった。では、空手は沖縄の人びとにとって、どのような存在なのだろうか。本発表では、2018年以降断続的に継続してきた聞取りを中心に、その一端を示すことで、沖縄における空手の位置づけを明らかにしていきたい。
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