講演情報

[03心-口-02]元アスリートが就業時に発揮する強み・弱みのイメージについての予備的検討オンライン調査を用いた会社員への自由記述式のアンケートを通じて

*並木 伸賢1 (1. 新潟医療福祉大学)
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【背景と目的】アスリートのキャリア支援に関連する研究の一つに,競技経験によって得られたスキルや能力を他の領域へ活用できるか検討する動きがある.就業時に活用されるスキルには,目標設定,時間管理,チームワーク,ストレスマネジメント等が示されている(Matsankos et al. 2020).その一方で,彼らを迎え入れる職場側の意見についての研究はあまりみられていない.そこで本研究では,元アスリートが就業時にどのような強み・弱みを持っていると考えているのか,そのイメージについて企業に勤めている会社員を対象に調査を実施した.

【方法】対象者:2024年3月にオンライン調査会社を通じて1000名へ自由記述式アンケート調査を配布し,適切な回答の得られた914名(平均年齢46.3±9.1歳,平均勤続年数23.0±10.3年)を分析対象とした.
調査内容:勤続年数・運動経験・元アスリートとの協働経験および自由記述(就業時に元アスリートがどのようなスキル・能力・強みを持っているか,どのような弱み・改善点があるか)を収集した.
分析方法:KJ法に基づき,紙切れづくり,グループ編成に基づいてグループ化を行った.

【結果と考察】914名のうち,316名が強みついて,430名が弱みについて「ない」「分からない」と回答しており,元アスリートの持つ力や就業時の難しさをイメージすることが難しい可能性が示唆された.また,強みについては精神面・体力面の強さ,コミュニケーション・チームワーク,努力・粘り強さ等を挙げ,弱みには,社会人経験・知識のなさ,プライドの高さ・頑固さ等の言及が多くみられた.強みについては,先行研究で確認されたものも含まれているが,弱みについてはアスリートに対するスティグマも反映されている可能性があり,就業に対する更なる調査を踏まえ元アスリートの持つ力を社会に伝えることが重要といえる.

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