講演情報
[10保-口-03]教育学部生における心肺蘇生法理解の現状
*村山 友祐1、杉崎 弘周2、上地 勝3 (1. 茨城大学大学院教育学研究科、2. 新潟医療福祉大学、3. 茨城大学)
【目的】学校現場において心臓突然死は毎年報告されている。教員は子どもの安全を守る立場にあるため、一般市民より高いレベルの対応が求められる。つまり、全ての教員が一次救命処置に関する知識と実践力を身に付けることが必要であり、教員志望の学生も知識と技能を有しておくことは不可欠と言えよう。しかし、教員養成の段階で全ての教員志望の学生にトレーニングの機会が保証されているわけではない。本研究では、教育学部4年生を対象に、心肺蘇生法に対する意識および技能ポイントの理解度を明らかにすることを目的とした。【方法】2023年11月にI大学で行われた心肺蘇生法講習において、Microsoft Formsによる自記式質問紙調査を講習の前後計2回実施した。なお、講習では時間の都合上、胸骨圧迫とAED使用の内容に限定し、人工呼吸は扱わなかった。調査の際、研究への参加は自由であり、参加の有無は授業評価に影響しないこと、プライバシーは厳重に守られることを文書及び口頭で説明し、同意が得られた学生を研究対象とした。分析にはIBM SPSS Statistics 25を用い、有意水準は5%とした。【結果】受講前は心肺蘇生法実施に対して自信がなく、不安を感じている学生が多かったが、受講後は「自信がある」との回答割合が大きく向上した。受講前の技能ポイントの理解度は「手順」「人工呼吸の比率」「人工呼吸の秒数」において特に低かった。手順では、「呼吸の確認」と「119番通報、AED要請」の順番が逆である誤答が約2割見られた。受講後は多くの項目で正答率の向上が見られたが、講習で扱わなかった人工呼吸に関しては、理解度の向上は見られなかった。【結論】「手順」において特定の誤答が高い割合で示されたため、今後は強調して指導する必要がある。今回の研究では、技能そのものを調査できていないため、知識と実践力の両面から調査することが必要である。
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