講演情報

[11教-口-03]体育授業における児童の怪我と体力の関連保健室来室記録を手掛かりに

*中村 有希1、佐藤 善人2 (1. 九州共立大学、2. 東京学芸大学)
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日本スポーツ振興センター(2023)によると、学校管理下における各教科等の負傷件数は小学校で86,175件であり、そのうち71,311件は体育授業で起きている。体育授業は身体活動を伴うことから、他教科よりも怪我のリスクが高い教科であるが、負傷件数を減少させていくことは体育授業の課題ともいえる。一般的に、学校事故の発生メカニズムは気候条件や活動そのものにどの程度危険が内在するのかという環境要因と、教員や児童に関連する人的要因に分けられる。満下(2020)は、学校事故に関連する先行研究は環境要因を中心に行われてきたことに触れ、学校事故の要因解明には、環境要因だけでなく人的要因の究明も重要であるとしている。とりわけ児童の人的要因として、体力低下や運動習慣の低下が謳われることも少なくないが、その内実は十分に検討されていない。そこで本研究は、体育授業における児童の怪我と体力の関連性について検討することを目的とした。
 方法は、九州地区の公立小学校2校を対象に、保健室来室記録を手掛かりに体育授業における負傷状況を1年分集計した。調査時期は2023年4月1日から2024年3月31日の間である。保健室来室記録は各学校の養護教諭が記録する記録簿であるが、学校教育法上の学校に備えなければならない表簿に位置づけられておらず、記録簿のあり方は多様である(後藤・古田、2007)。これらを踏まえ、研究協力校の管理職や養護教諭らと記載項目の協議を行い、導入可能な保健室来室記録を新たに作成し、集計を行った。併せて、研究協力校で2023年度に実施された「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を収集し、負傷データと体力データを紐付けて分析した。なお、本研究は九州共立大学の「ヒトを対象とする研究倫理審査」の承認を得て実施した。当日の発表では、児童の怪我と体力の関連性について分析結果を中心に報告する。

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