講演情報

[11教-口-04]チアリーディングの頭部動揺について頭部損傷基準値:HIC(Head Injury Criterion)用いての評価

*廣田 音奏1、石川 芽生子2、成田 泰崇3、小谷 恭子4、河鰭 一彦5 (1. 大阪産業大学、2. 関西学院大学大学院、3. 国士舘大学、4. 帝塚山学院大学、5. 関西学院大学)
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チアリーディング中の頭部外傷について発生や危険性ならびに対処の必要性が提唱されてきている。問題となっているのが脳震盪への暴露である。脳震盪を防ぐ技術の要諦は、頭部に衝突衝撃を発生させないことである。そのためには落下から着地する際は頭部動揺を低下させる技術が必要になる。頭部動揺を低下させる代表的なものは「柔道の受け身」である。受け身の指導の際、「着地時に頭頚部屈曲することが重要」と指導されることが多い。我々の研究グループは『受け身の頭頚部屈曲は「顎をまっすぐに引くのではなく、左右どちらかの方向に引いた方」が頭部動揺を抑制する可能性が高い』と報告してきた。今回、チアリーディングの「ショルダースタンドのトップポジションからの落下」に着目した。落下する演者はトップと呼ばれトップには日常的に身体運動を行っている8名が実験に参加した。そのうちチアリーディングトップ経験者が5名であり、3名が未経験であった。被験者が装着したヘッドギアの頭部前額面上に加速度計を取り付けた。試技は「①顎を最大限に引き固定する」「②顎を右鎖骨に触れるよう最大限に引く」「③顎を左鎖骨に触れるよう最大限に引く」の3試技をそれぞれ1回ずつ行った。頭部動揺を評価するために頭部損傷基準値:HIC(Head Injury Criterion)を採用した。3試技の平均HIC値は①6.42②5.49③6.40であり重大損傷の目安とされているHIC=1000よりかなり低値であった。さらに固定しやすい方向のHIC値と3試技のうちHIC値が最大であった値を有意差検定した結果、固定しやすいと回答した方向のHIC値が優位に小さかった(p < 0.05)。チアリーディングの指導現場ではトップポジションからの落下指導方法として「自分が固定しやすい方向へ顎を引く」ように指導することが有効である可能性が明らかになった。

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