講演情報

[02社-口-03]運動・スポーツ実施状況と社会経済的地位の関連地位内分散の異質性に注目して

*下窪 拓也1 (1. 順天堂大学)
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格差が深刻な社会問題として認識されて久しい。社会経済的地位に応じた格差は、運動・スポーツ実施にも影響する。適度な運動習慣は健康の維持向上に貢献するため、運動・スポーツ実施の社会経済的地位による格差の把握は、格差是正策立案の一助となる。
 国内外の研究では、学歴や世帯年収と運動・スポーツ実施状況の関連が報告されてきた。しかし、社会経済的地位による運動・スポーツ実施状況の説明力は高くない。つまり、地位内の運動・スポーツ実施状況ばらつきが指摘される。社会経済的地位間でこの誤差が異質である場合、運動・スポーツ実施状況と社会経済的地位の関連について、以下の2つの仮説が成り立つ。
 一つ目の仮説は、低地位層の分散が拡大する状況を想定する。運動・スポーツ実施の阻害要因は社会経済的地位の高低で異なり、特に低地位層には阻害要因が累積する傾向がある。多様な阻害要因が混在する低地位層では、高地位層よりも運動・スポーツを実施する人とそうでない人の差が大きい可能性がある。
 二つ目の仮説は、高地位層の分散が拡大する状況を想定する。高地位層は資源を豊富に持つが、それを活用して運動・スポーツを実施するとは限らない。つまり、運動・スポーツを実施する環境が整っているからこそ、実施する人としない人の差が生じる可能性がある。一方、低地位層は資源の不足により、実施有無を選択する機会すら得られない可能性がある。その場合、高地位層ほど運動・スポーツ実施状況の分散が大きくなる。
 本研究は、社会調査データの二次分析を通じて、上記の仮説を検証する。得られた結果から、従来の研究では言及されていない地位内分散の異質性に着目し、運動・スポーツ実施の社会経済的格差の実態を議論する。

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