講演情報

[02社-口-11]アメリカの高校運動部活動の実態に関する調査研究(2)ミシガン州でのフィールドワークをもとに

*束原 文郎1、中澤 篤史2、小石川 聖2 (1. 京都先端科学大学、2. 早稲田大学)
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■アメリカのスクールスポーツのしくみは長らく,州レベルで整えられてきた.各州のいわゆる高校体育連盟が,スクールスポーツ統括の役割を果たしてきた.ミシガン州にも「MHSAA(The Michigan High School Athletic Association)」があり,この組織がルールの制定,執行,競技会の運営等に責任を負う.本発表ではMHSAAのハンドブックおよび指導者・審判・運営者のためのガイドブック,また,2023年9月12日〜15日に行われたミシガン州での学校訪問調査のフィールドノーツおよびインタビューデータを考察し,ミシガン州の学校運動部活動の特徴を抽出することを企図する.
■ミシガン州のスクールスポーツの主な特徴として以下を指摘できる.a)競技スポーツを支えるコード(規範)が関係者の立場ごと(学区の教育長・校長/事務長/アスレティック・ディレクター/指導者/審判・マッチオフィシャル/生徒アスリート)に明示され,共有されていること,b)厳格な選手資格(eligibility)が設定され,その中核には競技成績や潜在能力と経済的価値とが結びつかないようにするしくみが実装されていること,c)コーチの報酬は労使協定の中で明確に定められ,概して非常に低額で,パフォーマンスや勝利に基づく追加収入が得られないようになっていること,d)学校責任者(校長や事務長)は「教育施設は管理するものではなく,教育効果を高めるためにデザインするもの」という考えとその権限を持つこと,e)そのために,スポーツ施設を使用して適正に収益を上げ,教育施設充実のための資源調達の一助とすること,などである.
■なお本発表は,独立した内容を持つものであるが、中澤ほか「アメリカの高校運動部活動の実態に関する調査研究(1)カリフォルニア州でのフィールドワークをもとに」と連動した共同調査研究プロジェクトの成果の一部である.

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