講演情報

[02社-口-12]集団競技の運動部活動における部員の役割分化とその機能的意味レギュラー選手・控え選手・補欠部員の三層分析

*須藤 巌彬1 (1. 早稲田大学大学院)
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集団競技を行う運動部活動において、部員数が公式戦の登録規定人数を上回るチームは構造上、公式戦に出場する権利を有する部員(登録選手)と有さない部員(補欠部員)に分かれる。
 先行研究では、登録選手と補欠部員を比較した参加動機に関する研究は多くなされてきたものの、その背景でもある部内での活動内容や役割の違いについての十分な研究はなされていない。唯一、「補欠選手」の役割に着目した安田ら(2021)は、部活動経験者を対象としたKJ法を通して、「補欠選手」の役割を類型化し、プレイ状況(直接/間接)とプレイ場面(練習/試合)の二軸で、「補欠選手」の役割を可視化する試みを行っている。
 しかし、安田らの研究では、非レギュラーを「補欠選手」とすることで、部員をレギュラー選手と「補欠選手」の二層から分析しているが、実際には、公式戦に常に出場するレギュラー選手、出場の権利は持つものの出場する機会の少ない控え選手、出場の権利すら持たない補欠部員の三層に大別される。したがって、安田らが「補欠選手」とした非レギュラーの役割を、控え選手の役割と補欠部員の役割に整理し直す必要がある。
 また、安田らの研究では、「補欠選手」の役割のみに着目し、チームの目的などとの関連や他の層との関連が等閑視されている。その結果、安田らは非レギュラーが従事している活動、すなわち役割の構成要素を整理したのみで、活動が役割とされるための条件や役割の定義づけができていない。
 したがって本発表では、運動部活動において、三層の部員それぞれの役割をチーム目的や他の層との関連から明らかにするとともに、部員が地位に応じた役割に従事することで引き起こされる機能を、高校野球部での質的社会調査をもとに明らかにしていく。

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