講演情報

[14介-口-02]地域在住高齢者の歩様と転倒の心理的要因との関連

*荒内 来美1、星野 聡子2 (1. 奈良女子大学大学院、2. 奈良女子大学)
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超高齢社会である日本では、高齢者の健康寿命延伸がひとつの課題である。高齢者が健康で自立した生活を送るために、歩行能力の維持・低下抑制は重要である。一方、転倒経験が多いほど歩幅や歩行速度の減少が顕著にみられる(金ほか、2013)ように、転倒と高齢者の身体機能には密接な関係がある。しかしながら、転倒の内的要因には身体機能だけでなく、心理的要因である「転倒への不安(転倒不安)」や「転倒せずにある活動を遂行できる自信(転倒自己効力感)」も関係する。転倒不安は転倒経験によらず発生しうるものであり(Murphy et al.、2003)、転倒不安が大きいと身体の不活動にもつながる(Delbaere et al.、2004)。また高い転倒自己効力感は身体活動量の増大をもたらすことから(前場ほか、2011)、転倒の身体的要因と心理的要因を包括的に把握することは、転倒の未然防止に貢献できると考える。そこで、本研究では地域在住高齢者を対象に、転倒不安および転倒自己効力感、また高齢者の全体的な健康感をとらえる生活の質(quality of life:QOL)を取り上げ、客観的に測定可能な指標である歩幅との関連について検討する。
 本研究の参加者は、N市内で自立した生活を営む地域在住高齢者213名(男性73名(73.0±5.8歳)、女性140名(77.0±5.8歳))であった。測定項目は、形態測定、身体機能測定(5m通常歩行(歩幅含む)、全身反応時間、握力、TUG、長座体前屈、重心動揺検査)、質問紙調査(転倒不安の有無、転倒自己効力感、健康関連QOL)であった。
 年齢を制御変数とし、歩幅との偏相関分析を行った結果、男女ともに5m通常歩行、全身反応時間、TUGで有意な負の相関が、握力、長座体前屈、身体的QOL、転倒自己効力感の総得点、手すりを使わず階段昇降する場面での転倒自己効力感で有意な正の相関がみられた。

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