講演情報
[05バ-ポ-01]野球の投球における下肢のエネルギーフローとパフォーマンスに関する研究
*米内 基樹1 (1. 新潟大学)
一般に,野球の投球で使われるエネルギーのほとんどが体幹と下肢で生成されていると考えられている。この体幹と下肢で発生したエネルギーを下肢から始まる運動連鎖により順次上昇させ,ボールをリリースする投球腕までできるだけ多くのエネルギーを移動させる必要がある。このエネルギーの発生と伝達はエネルギーフローと呼ばれ,これを最適化することがパフォーマンスの向上につながる。これまでの先行研究では投球腕を含めた上肢に関するものが多く,下肢についての研究は少ないという現状がある。また,高校生の野球部を対象に下肢のエネルギーフローを調べた研究はあるが,投球動作のエネルギーフローの特徴を解明したものであり,評価項目とパフォーマンスの関係を明らかにするものではなかった。そこで本研究では,Robertson and Winter(1980)による関節パワー分析によって得た下肢の3次元エネルギーフロー解析結果と,実際の球速と投球精度を比較することにより,パフォーマンスとエネルギーフローの関係を考察する.新潟大学の野球部員を対象として実験を行う。試技の計測には高速度ビデオカメラとフォースプレート(SPORTS SENSING社)を用い,Fram DIAS V(DKH)を使って3次元動作解析を行う。パフォーマンスは投球速度と投球精度の2つの観点から評価し,実験結果から2つのグループに分け比較する。実験内容は最大で45球の投球を行い,投球速度は平均球速を,投球精度は投球的の中心からの距離の平均値をそれぞれ算出する。エネルギーフローに関する主な比較項目は,各セグメントと関節間でのエネルギー発生,吸収,伝達に対して正のピーク,負のピークのエネルギー量である。また,投球時間を膝が最も高く上がった時点からボールリリースまでの時点で正規化し,それぞれのピークのタイミングに関しても考察を行う。
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