講演情報

[05バ-ポ-07]時間的制約下におけるパス動作のタイミングコントロール

*西面 智華1、高徳 希2、藤原 素子3 (1. 奈良女子大学大学院、2. 高知県立大学、3. 奈良女子大学)
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球技でのパス動作には、時空間的・力量的なタイミングコントロールが求められるが、ディフェンスの対応によって、常に最適なタイミングでパス動作を遂行できるわけではない。本研究では、より実際に近い場面における正確なパス動作の動作調節方略を明らかにすることを目的とし、走っている味方に見立てた移動視標(LEDが順に点滅、速度は2種類)に対してリリースのタイミングに制約のあるパス動作課題を行い、速度に応じた「投げ分け」の観点から検討した。味方への正確なパス動作では、味方の走速度の認知と自己動作の見積もり(リリースしたボールがいつ味方に届くか)を合致させることが求められる。そこで本研究では、被験者は座位姿勢で、移動視標の速度認知、自己動作の見積もり、移動視標に合わせたパスの3課題を行った。自己動作の見積もりとパス課題では、最終LEDの右側に設けた的(1.4m×1.0m、被験者から6.0m)に対してパス動作を行った。移動視標の速度認知およびパス課題において、移動視標の速度条件はSlow(2.65m/s)とFast(4.00m/s)とし、パス課題では移動視標が指定した場所を通過するタイミングでリリースするように教示した。すべての課題におけるタイミング誤差時間、パス課題における動作時間を求め、さらに上肢の運動学的特性について検討した。その結果、Fast条件ではタイミング誤差時間が小さい傾向がみられた。また、自己動作の見積もりはほぼ正確に出来ており、パス課題における動作時間・ボールの軌道については移動視標の速度による差が認められた。移動視標の速度に応じた「投げ分け」における動作調節方略に関して、Slow条件では、手関節の掌屈動作(スナップ動作)を用い、リリース位置を上方にすることで軌道の高いパスを、一方Fast条件では、肘関節の伸展動作によりリリース位置を前方にし、軌道の低いパスを行っていた。

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