講演情報
[09方-ポ-44]野球の高い打撃パフォーマンスと走塁への素早い切り替えの両立は可能か
*大山 栞爾1、前田 明2 (1. 鹿屋体育大学 大学院、2. 鹿屋体育大学)
野球の攻撃では、打撃とその後の1塁への走行の異なる運動を組み合わせた運動を行っている。この異なる運動の組み合わせは複合運動とされ、様々なスポーツでみられる。野球の打撃では、高い打撃パフォーマンスを発揮し、かつ1塁への素早い走行が必要なため、複合運動である切り替え動作は重要であると考えられる。しかし先行研究では打撃と走塁といった各運動に着目した報告のみで、複合運動に関する知見はない。そこで本研究では複合運動による打撃パフォーマンスおよび走塁への切り替えについて明らかにすることとした。本研究では大学野球選手右打者12名を対象とし、打撃のみを行う条件(離散運動)と打撃後に1塁方向への走塁を伴う条件(複合運動)において、高さが統一された3コース(イン、真ん中、アウト)による測定を実施した。試技中の動作については、光学式モーションキャプチャシステム及びフォースプレートを用いた。打撃パフォーマンスでは、インコースのスイング速度において、複合運動 (32.2±1.8m/s)は離散運動(33.2±2.0m/s)に比べ有意に低かった(p<.05 )。しかし、他のコースでは有意差は認められなかった。またインコースでのみ、フォワードスイング期の軸足の地面反力合成成分において、複合運動は離散運動に比べ有意に低かった(p<.05 )。走塁への素早い切り替えでは、インパクトから両脚がフォースプレートを離地するまでの時間における選手間の比較で、インコースでは最大0.59s、アウトコースでは最大0.46sの時間差があることが明らかとなった。スイング速度の低下について、軸足の地面反力が低下したことにより、打撃動作中の並進および回転への作用が減少したことが考えられ、選手間でインパクトから両脚がフォースプレートを離地するまでに時間差がみられたことについて、インパクト後の走り出す姿勢が関係していると考えられる。
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