講演情報

[09方-ポ-48]バッティングの「構え」から、経験者か否かを判断できるか?

*依田 珠江1、田中 英登2、川井 貴志3、勝亦 陽一4、大室 康平5、矢内 利政6、彼末 一之7 (1. 獨協大学 、2. 松山大学、3. (株)千葉ロッテマリーンズ、4. 東京農業大学、5. 八戸工業大学、6. 早稲田大学、7. 順天堂大学)
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自分が経験のあるスポーツの動作を未経験者がするのを見ると違和感(「ヘン!」)が生まれる。それは、観察者がその競技に独特な動きの時間的・空間的パターンの記憶を持ち、他人の動作を見るときには、その動作を脳内で再現してシミュレートするためと思われる。それでは時間的情報の全くない静的な条件(写真)でもその対象がその競技の経験者かどうかを判定できるであろうか。本研究ではバッティングの「構え」に着目してこの問題を検討した。ソフトボール/野球の経験者は、「構え」を見ただけでも「この打者は打てそう」、「この打者は大したことない」などと対象の熟練度についての判断ができると予想される。まず、1)大学女子ソフトボール選手、2)ソフトボール/野球の未経験者で運動部に所属する女子大学生、および3)運動部無所属(初心者)の女子大学生の3群(各16名)をモデルとして、バッティングの「構え」を撮影した。後者の2群の場合にはあらかじめ元プロ野球選手がバッティングの構えを「それらしく」なるように指導した。そして、得られた「構え」の写真をランダムに、ソフトボール/野球の経験者(「野球群」)と未経験者(「対照群」)の2群からなる観察者に1秒間呈示し、モデルがソフトボール選手か未経験者かを判定させた。「野球群」は「対照群」に比べて、ソフト部のモデルをソフトボール選手と判断し、また初心者を未経験者と有意に高い正解率で判断した。運動部のモデルは観察者群間に正解の違いは見られなかった。また「野球群」も「対照群」ともソフト部、運動部、初心者の順にモデルをソフトボール選手と判断する数が多かった。以上の結果から、ソフトボール/野球経験により、静的な「構え」を見るだけで経験者か未経験者かの判断がより正確にできることが明らかになった。

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