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[09方-ポ-56]高校男子サッカーチームにおけるボトムアップ風土と選手の主観的なパフォーマンス向上および人間的成長の関連

*酒井 佑1、三科 安晃2、雨宮 怜3、坂入 洋右4 (1. 筑波大学大学院、2. トヨタ自動車株式会社、3. 筑波大学、4. 常葉大学)
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本研究の目的は、高校男子サッカーチームにおけるボトムアップ風土と選手の主観的なパフォーマンス向上および人間的成長との関連を検討することであった。なおボトムアップ風土は、畑(2019)を参考に「下位上達の意思決定がなされ、選手1人1人の主体性を促す組織の特徴」と定義し、本研究を進めた。調査対象者はA大学体育会男子サッカー部の選手127名(20.49±1.36歳)であり、高等学校在学時に所属していたサッカーチームに関する回顧式調査を実施した。調査内容として、チーム形態(学校部活動/クラブチーム)、チーム規模(人数)、ボトムアップ風土尺度の原案20項目、選手の主観的なパフォーマンス向上および人間的成長の評価項目を用いた。ボトムアップ風土尺度の原案に対して探索的因子分析(最尤法・Promax回転)を行った結果、2因子9項目が抽出され、両因子の内的整合性が確認された(F1選手主体の決定:α=.80、F2指導者のボトムアップ的関与:α=.73)。続いて、両因子の得点を基に、階層的クラスタ分析(Ward法)を行った結果、解釈可能な4つのクラスタ(F2が高いCL1「指導者主導型」、F1、F2の双方が高いCL2「両立型」、F1が高いCL3「放任型」、F1、F2の双方が低いCL4「専制型」)が生成された。当該クラスタを独立変数、主観的なパフォーマンス向上および人間的成長を従属変数とした一要因分散分析を行った結果、主観的なパフォーマンス向上は、CL1「指導者主導型」が最も高く(F(3、123)=7.98、p<.001、η2=.149)、人間的成長の評価は、CL2「両立型」が最も高かった(F(3、123)=6.63、p<.001、η2=.139)。高校男子サッカーチームにおいて人間的成長を促す場合には、指導者が選手の主体性を尊重することに加え、選手主体の決定を尊重する風土も求められると考えられる。

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