講演情報
[13ア-ポ-02]日常的な筋力トレーニングが機能維持に有効であった肢帯型筋ジストロフィー患者の症例報告
*井田 智之1、後藤 賢二1、幸田 剣1、田島 文博2 (1. 和歌山県立医科大学みらい医療推進センターげんき開発研究所、2. ちゅうざん病院)
肢帯型筋ジストロフィー(以下LGMD)は、徐々に筋力低下が生じる遺伝子疾患である。【目的】すでに専門家の指導下で継続的に筋力トレーニングを行っているLGMD患者に対して,1週間のトレーニング休止前後の筋力の比較を行い、筋力トレーニングの効果に関する知見を示す。【対象】LGMD発症後18年経過した50代前半の男性。40歳代で両多点杖歩行となり、この頃より本研究所(トレーニングセンター)の利用を開始した。約10年ほど一般的なトレーニングマシーンを利用した自主トレーニングとトレーナー付き添いの下でトレーニングを継続しており,約1年前からはメディシンボール(MB) (1㎏)投げ(前方,左右側方投げ,左右各側50投程度)を週3回行っている。【方法】研究対象者の生活行動水準が低下した(7日間)の前後において,指標として,握力,座位でのMB(前方、左右側方)投げ,5m歩行,3分間歩行、In-Bodyによる筋肉量・脂肪量を比較した。【結果】休暇前後で,右握力35.0→30.5(kg)、左握力33.0→31.5(kg)、MB前方投げ4.62→4.50(m)、MB右側方投げ5.95→5.94(m)、MB左側方投げ6.18→5.91(m)、5m歩行10.49→11.23(秒)、3分間歩行61.5→58.0(m)、筋肉量38.4→36.7(㎏)、脂肪量41.8→43.8(㎏)と、すべての項目でトレーニング休止後に低下が認められた。【考察】LGMD患者に対しては,短期間のトレーニング休止であっても体力水準の低下を招く可能性が示唆された。またLGMD患者に対する継続的な筋力トレーニングが効果的な可能性がある。【まとめ】50歳代男性LGMD患者への持続的な筋力トレーニングは患者の生活行動水準を維持し,短期間トレーニング休止は運動機能全般を低下させる可能性がある。
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