講演情報

[13ア-ポ-04]KUNDE柔道が晴眼者の技術向上に与える影響

*瀬戸 勇次郎1、小林 裕季1、齊藤 まゆみ1 (1. 筑波大学)
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視覚障害の有無に関わらず、視覚障害者柔道のルールを用いて組んで始める柔道を「KUNDE柔道」と呼称する。視覚障害のある柔道家の多くは晴眼者とともに稽古を行なっているため、晴眼の柔道家がKUNDE柔道に取り組む機会が増えれば、視覚障害のある柔道家の稽古環境が充実し競技人口の増加や競技力向上への効果が期待される。本研究では晴眼者がKUNDE柔道に継続的に取り組む動機となりうる要素として技術に着目した。晴眼者がKUNDE柔道を実践することによって得られる変化を調査し、向上する技術を明らかにするための資料とすることを目的とする。
 大学柔道部に所属する学生を対象に、3週間の期間中の乱取り稽古を全てKUNDE柔道による乱取り稽古に置き換えた。各稽古ごとに実施したアンケートをもとに抽出した2名の対象者に半構造化インタビューを実施した。発言内容をテーマティック・アナリシス法を用いて分析したところ、「KUNDE柔道の印象や組んで始めることへの慣れ」「相四つでの違いや変化」「ケンカ四つでの違いや変化」「KUNDE柔道の効果」の4つのテーマが生成された。またサブテーマとして、「KUNDE柔道の印象や組んで始めることへの慣れ」には[攻撃への意識][組力]など、「相四つでの違いや変化」には[間合い][苦手意識]など、「ケンカ四つでの違いや変化」には[引手を持てる][釣手の上下による攻防の意識]など、「KUNDE柔道の効果」には[崩しの意識][新たなスタイルへの気づき]などが生成された。
 KUNDE柔道では従来の柔道と比べて動きや技の選択肢、間合いに違いがあり、KUNDE柔道特有の組むことへの意識も見られた。KUNDE柔道への肯定的意見として足技などを用いた崩しへの意識の変化や戦術の厚みが生まれるなどが挙げられ、特にシチュエーション別の練習としての効果が高いことが示唆された。

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