講演情報

[13ア-ポ-08]ブラインドサッカー体験が中学生の視覚障害者観に与える影響について

*原 幸輝1、相川 貴裕2、升本 絢也2 (1. 広島文化学園大学大学院、2. 広島文化学園大学)
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障害者理解教育において,体育・スポーツ活動が障害者に有効であるという先行研究が多くある。また,先行研究では,障害者に係る人たちの障害者観の変容には,特に小学生時代に体験することが有効であるといわれている。さらに,本研究は,中学生がブラインドサッカー選手とともに体育の授業の中でブラインドサッカー体験をすることで,中学生の視覚障害者観がどのように変容していくのかを調査・研究した。
 研究対象者は,広島県A郡S町の健常な中学3年生93名(男子53名,女子40名)であり,障害者との接触経験がある者は11名,ない者は82名であった。研究では,中学生に対して,ブラインドサッカー選手とともにブラインドサッカーの体験型授業を1コマ(50分間)実施し,その前後で視覚障害者への意識に関する質問紙調査を実施した。質問調査の項目は,「かわいそう」,「暗い感じ」,「怖い感じ」,「元気がない」,「生活するのが難しい」,「ひとりで何もできない」,「一緒に生活は困難」,「障害がなくてよかった」,「スポーツするのはあぶない」,「一緒にスポーツは困難」,「困っているときは助けたい」の11項目であり,全ての項目では項目について5段階(1とても思う,2少し思う,3どちらともいえない,4あまり思わない,5まったく思わない)で評価を求めた。
 調査の結果,「かわいそう」,「暗い感じ」,「生活するのが難しい」,「ひとりでは何もできない」,「スポーツするのはあぶない」,「一緒にスポーツするのは困難」の6項目において,体験型授業実施後は実施前よりも値が高くなり,中学生時代においても視覚障害者観は肯定的に変化した。その他の5項目については有意な差はなかった。幼少期に障害者理解教育を行うことが良いとされていたが,本研究は新たに中学生時代でも障害者理解教育の効果があることを示唆する結果を示した。

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