講演情報
[07発-ポ-11]幼児の概日リズム形成に関与する遺伝子タイプ特性が、睡眠、身体活動量および唾液マーカーに与える影響
*小泉 佳右1 (1. 千葉大学大学院国際学術研究院)
【目的】幼児期は、生涯にわたる生活リズム形成の基盤づくりの時期といえる。本研究では、幼稚園年長児を対象にして、概日リズム形成や光の感受性に関わる遺伝子の一塩基多型の違いが、睡眠特性、時間ごとの身体活動量および概日リズムを示す唾液マーカーに与える影響について調査することを目的とした。【方法】幼稚園年長児33名を対象とした。唾液サンプルを使用してPCR法によるジェノタイピングを実施した。また、起床直後および就寝直前の唾液中コルチゾールおよびメラトニン濃度測定を、ELISA法により実施した。さらに、活動量計(KSN-200およびMTN-221、アコーズ、飯田)を1週間腰に装着し、身体活動量および睡眠に関して定量的に測定した。測定結果は、専用のソフトウェア(Position ToolおよびSleepSign Act 2、いずれもキッセイコムテック、松本)を用いて分析した。【結果】時計遺伝子であるPER3の多型rs228697においては、メジャー型C/Cは30名、マイナー型C/Gは3名であった。サンプル数が少ないものの、C/G型においてはC/C型よりも、休日の活動エネルギー消費量が少なく、睡眠時間が長かった。またC/G型はC/C型よりも、休日における夕方16時台の歩数やエネルギー消費量が多かった。メラノプシン形成に関与する一塩基多型であるrs1079610においては、Cアリルを含むC+型(C/T型およびC/C型の合計)は12名、T/T型は21名であった。起床直後の唾液中コルチゾールおよびメラトニン濃度は、有意な差ではないもののいずれもT/T型のほうが低い平均であった。【まとめ】幼児においても一塩基多型の違いが概日リズムや身体活動特性に変化を与える可能性があるため、生活リズム形成や身体活動量増加をねらいとした取り組みには、個体の特性を考慮した指導や支援をしていくことが望ましいと考えられた。
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