講演情報
[08測-ポ-27]動的時間伸縮法によるカーリング動作のウエイト条件間の比較
*小林 秀紹1 (1. 札幌国際大学)
本研究はカーリングのデリバリーフォームにおけるキネマティックス変量の時系列データに対して動的時間伸縮法(DTW)を適用し,効果的なフィードバック情報の提供を目的に,分析手法の有効性を検討した.DTWは時系列データ同士の距離・類似度を測る際に用いる手法である.波形の距離を求める手法としてはユークリッド距離やマンハッタン距離が知られているが,DTWは2つの時系列の各点の距離(誤差の絶対値)を総当たりで求め,全て求めた上で2つの時系列が最短となるパスを見つけ出す分析手法である.同手法は時系列同士の長さや周期が違っても類似度を求めることができる特徴があり,本研究では異なるストーン速度によるフォームの違いに焦点を当てて検討した.すなわち,本研究の目的はカーリング競技のデリバリー動作におけるキネマティクスデータについて,動的時間伸縮法(DTW)を用いて動作条件間の比較を行うことであった.全国大会レベルの女子大学カーリング選手8名を対象とした.氷上にてマーカーレスモーションキャプチャシステムを利用し,動作のキネマティクスデータを取得した.選手はドローおよびテイクウエイトの2種類の速度によるデリバリーを行った.全選手が右利きであったため,全ての測定は選手に対して左側のスライディングフット側から撮影を行った.得られたデータは骨盤およびスライディングフットの膝関節を中心に,関節位置軌跡の時系列データにおける動作速度間の比較を主な観点として解析を行った.ドローウエイト時の骨盤の加速度はテイクショット時に比べて違いが窺えた.DTWの適用結果,2種類のストーン速度間において関係の程度は異なった.この解析の観点において,個人差を有するデリバリーフォーム全体の時系列データに対して,時間の正規化を行うことなく,異なる条件間におけるフォームの比較が可能であることが確認された.
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン