講演情報

[03心-ポ-01]Uncontrolled manifold解析を用いたスポーツ動作の協調性の評価バレーボール選手におけるアンダーハンドレシーブに着目して

*須田 祐貴1,2、渡邉 諒3,4、樋口 貴広1 (1. 東京都立大学人間健康科学研究科、2. 日本学術振興会特別研究員(DC2)、3. 鹿屋体育大学スポーツ人文・応用社会科学系、4. 日本学術振興会特別研究員(PD))
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バレーボール選手にとって,アンダーハンドレシーブは基礎的な動作であり,一般に競技年数が長くなるほど上達する。本研究では,アンダーハンドレシーブの技術を全身の要素(関節角度などの自由度)の協調という観点から表現できるか検討した。競技年数の違いによる技量を評価するため,バレーボール競技年数が10年程度の2名と1年程度の2名を対象とした。高さ2.7mから落下するボールをアンダーハンドレシーブにて2.5m前方にいる実験補助者にパスする課題を30回反復した。ボールを打突する瞬間における下肢・体幹・上肢の関節角度を計算した。協調性の定量化にはUncontrolled manifold(UCM)解析を用いた。UCM解析は,ある動作において目的となる変数(目的変数:打突時の手の位置など)に対して,それを制御する筋骨格系の自由度(要素変数:関節角度など)を設定し,要素変数の試行間のばらつきから,目的変数に影響するばらつきと影響しないばらつきを抽出する。本研究では,関節角度を要素変数,打突時の手の位置を目的変数とした。この場合,協調性が高いとは,打突時の手の位置を一定に保つために様々な関節角度の組み合わせを実現している(試行間で目的変数に影響するばらつきが大きい)ことといえる。実験の結果,打突時の手の位置のばらつきは,競技年数の違いによる差は見られなかった。また,UCM解析の結果,競技年数が長い人の方が,短い人よりも協調性が高い傾向にあることがわかった。これらの結果から,競技年数による技量の違いはUCM解析に基づく協調性として評価できる可能性が考えられた。今後はより多くの人数を対象とすることによって,この考えが妥当であるか検証していく必要がある。

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