講演情報
[03心-ポ-09]タイムプレッシャーの強度が精神的負担に及ぼす影響フランカー課題による検討
*大久保 瞳1、高井 秀明1 (1. 日本体育大学)
球技スポーツでは、タイムプレッシャー(TP)といったストレスに曝されながら、限られた時間内に迅速かつ的確に状況を判断し、意思決定することが求められる。そのため、判断の遅れや誤りは試合の勝敗を大きく左右する。しかしながら、このようなストレス状況下における競技者の精神的負担については不明な点が多い。したがって、TPの強度と精神的負担との関係をメンタルワークロードの観点から詳細に確認することができれば、球技スポーツにおける状況判断場面での認知的な負荷を客観的に評価することにつながるだろう。そこで本研究では、TPの強度が精神的負担に及ぼす影響について検討することを目的とした。実験参加者は、体育系のA大学に所属する学生24名(男性12名、女性12名)であった。課題にはTPの強度を操作したフランカー課題を用いた。手の反応様式には両手をクロスせずに反応するNon-Cross条件と両手をクロスして反応するCross条件を設けた。TPの強度は250、300、350、400、450 msとし、各条件128試行実施した。また、精神的負担を評価するために日本語版NASA-TLX(芳賀・水上、1996)を記入させた。その結果、手の反応様式に関わらず、TPの強度が250 msは350、400、450 msより、知的・知覚的要求、身体的要求、TP、作業成績、努力、フラストレーションの得点が有意に高かった。また、TPの強度に関わらず、Cross条件はNon-Cross条件より、知的・知覚的要求、身体的要求、TP、努力の得点が有意に高かった。よって、TPの強度が300 ms以下、400 ms以上になると、精神的負担の得点は変わらないことが示された。さらに、Cross条件では、両手をクロスして反応させ、情報処理過程の反応実行段階を複雑化させることにより、精神的負担の影響が高まることが明らかとなった。
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