講演情報

[03心-ポ-02]リスク下での運動適応過程における高得点への選好

*女川 亮司1、工藤 和俊2、渡邊 克巳1 (1. 早稲田大学、2. 東京大学)
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運動場面では、自身の運動の変動性と運動結果に応じた価値の分布に基づいて、運動を適切に選ぶことが重要である。先行研究では、成功と失敗が近接する状況において、リスク志向的な行動が好まれることが示されている。このバイアスが生じている原因として、より良い結果への選好が考えられる。そこで本研究は、視覚回転外乱を用いた運動適応過程を評価することで、高得点への選好が存在するか検討した。参加者は、ある位置に近づくほど得点が高まるものの、その位置を超えると失敗となってしまう得点関数の下でリーチング課題をおこなった。この際に、本来とは異なる運動結果がフィードバックされる視覚回転外乱を適用した。この操作されたフィードバックに応じた運動の修正量から、運動結果(到達位置と得点)に対する主観的な評価が明らかになると考えた。結果として、視覚回転外乱により失敗が誘発された場合には敏感に運動修正が行われた一方で、外乱により実際よりも高得点を得られた場合には運動修正は弱かった。この結果は、狙いどころとの誤差の大きさだけでなく、得点に応じて運動の修正が行われることを示唆した。とくに、狙った位置よりも高得点が得られた場合には、修正が弱かったことから、狙いとは異なっていても、ポジティブな結果が得られたときには、同じ行動を続けようとする傾向があることが示唆された。このような、結果に対する選好とその選好に基づく運動修正過程は、リスク志向バイアスの原因の一つとなっている可能性が考えられる。

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