講演情報

[03心-ポ-17]Gritがスポーツの練習の質と人生キャリア成熟に及ぼす影響

*藤本 太陽1、玉城 耕二2 (1. 福山平成大学、2. びわこ成蹊スポーツ大学)
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スポーツでは高い競技レベルに到達するには、長期的な目標に向けた日々の厳しい練習と多くの困難を乗り越える努力の継続が必要である。近年、努力の継続に関する重要なスキルとして「Grit」という非認知能力が注目されている。Gritとは長期的な目標を達成するための興味の一貫性と努力の粘り強さから成り、「やり抜く力」と訳されている。Gritの重要性は多くの領域で報告されているものの、その知見はまだ十分ではない。特にスポーツ領域での検討は少なく、Gritがスポーツの上達や成功、さらに人生の充実にどのような影響を及ぼすかは明らかではない。そこで、本研究では大学生競技者を対象に、Gritがスポーツの上達や成功に関わる日々の練習の質や、人生の充実にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。調査対象は大学生競技者466名、調査内容は日本語版Grit尺度、スポーツ版自己調整尺度、人生キャリア成熟尺度を用いた。分析方法は、Grit尺度とスポーツ版自己調整尺度、人生キャリア成熟尺度の相関と重回帰分析、Grit尺度の高群・低群におけるスポーツ版自己調整尺度、人生キャリア成熟尺度について対応のないt検定を行った。分析の結果、Gritはスポーツ版自己調整および人生キャリア成熟と低ー中程度の正の相関が示された。また、Gritがスポーツ版自己調整学習、人生キャリア成熟に正の影響を与えていることが示された。さらに、Gritの高群は低群よりも、スポーツ版自己調整尺度の「計画性」「自己効力感」「セルフモニタリング」「評価・内省」「総合得点」、人生キャリア成熟尺度の「キャリア関心性」「キャリア自律性」「キャリア計画性」「総合得点」の得点が高いことが示された。
 以上のことから、スポーツ領域においてGritを高めることは、日々の練習の質を向上させ、さらに人生や生き方への取り組みが前向きになる可能性が示唆された。

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