講演情報

[03心-ポ-19]スポーツ傷害発生と心理的要因の関係再受傷者のパーソナリティと情動知能の検討

*岡田 誠1、矢野 琢也2、中澤 史3 (1. 名古屋女子大学、2. 兵庫大学、3. 法政大学)
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【目的】大学生アスリートを対象にスポーツ傷害再受傷(以下:再受傷)の有無と心理的要因であるパーソナリティ、情動知能の関係を検討することを目的とした。【対象と方法】過去にスポーツ傷害の経験のある大学生アスリート279名(男性123名、女性156名)に対してフェイスシート、パーソナリティ診断として東大式エゴグラム第3版(以下:TEGⅢ)、情動知能検査として情動知能尺度(以下:EQS)を実施した。フェイスシートではスポーツ歴、スポーツ傷害の有無について、TEGⅢでは5つの自我状態(CP、NP、A、FC、AC)、EQSでは対応因子と領域の12項目(全33項目)について確認した。更に、279名全員に対して3~7か月後に追跡調査として再受傷の有無を調査した。本研究の検討項目は、①追跡調査による再受傷者数、②再受傷の有無とTEGⅢ、EQSの関係(2群間の差の検定)、③再受傷者のTEGⅢとEQSの相互関係(重回帰分析)とした。統計処理はSPSS Ver.27を使用し、有意水準は全て5%未満とした。なお、本研究は法政大学倫理審査委員会の承認(2022_01)を得て実施した。【結論】追跡調査による再受傷者数は65名/279名であり、再受傷率は23.3%であった。再受傷の有無によるTEGⅢの比較では、再受傷者がCPで有意に高値、NP、Aで有意に低値となった。EQSでは、再受傷者の方が自己洞察、愛他心、状況コントロールで有意に低値となった。このことから、再受傷の特徴として、洞察力の低下により周囲が見えなくなり、冷静な判断ができない状況で、自身の勝利に対する過度な意識に加えて、他者に対する配慮がより不足していることが再受傷につながったと考えられた。また、重回帰分析の結果、TEGⅢからEQSに影響を及ぼす複数の因子が抽出されたことで、パーソナリティが情動知能の形成に関与している可能性が示唆された。

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