講演情報
[03心-ポ-21]大学スポーツ選手の心理的競技能力に影響する要因の検討人格発達要因と練習への取り組みに着目して
*竹之内 隆志1、大畑 美喜子2 (1. 名古屋大学、2. 中京大学)
竹之内・大畑(2022、2023)は、スポーツ選手の心理的競技能力に、重要な他者とのアタッチメントや心理社会的発達課題の達成といった人格発達に資する要因が影響することを明らかにしている。しかし、心理的競技能力は、本来、練習への取り組みによって培われるものと考えられる。そのため、人格発達に資する要因だけでなく、練習への取り組みも同時に加味して心理的競技能力への影響を検討する必要がある。そこで本研究では、人格発達に資する要因として「重要な他者とのアタッチメント」と「同一性の達成」を、練習への取り組みとして「練習への意欲的・計画的取り組み」を取り上げ、心理的競技能力への影響を検討した。分析対象者は、大学スポーツ選手278名(男性143名、女性135名)であった。重回帰分析の結果、男性ではすべての要因が、女性では同一性と練習への取り組みが心理的競技能力に影響していた。つまり、人格発達に資する要因と練習への取り組みは、心理的競技能力に各々独自の影響を及ぼすと考えられた。次に、レギュラー状況別に重回帰分析を行ったところ、心理的競技能力に影響した要因は、男性の非レギュラー群ではアタッチメントと練習への取り組みであったが、男性のレギュラー群(準レギュラーを含む)ではこれらに加えて同一性が影響していた。また、女性の非レギュラー群では練習への取り組みのみが心理的競技能力に影響していたが、女性のレギュラー群(準レギュラーを含む)では練習への取り組みに加えて同一性が影響していた。このように男女ともにレギュラー群では同一性が心理的競技能力に影響しており、レギュラー選手の心理的競技能力の向上には人格発達に資する要因の影響が強まることが示唆された。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン