講演情報

[03心-ポ-27]観察者の性別の違いが速さと正確さの両方を要求される課題のパフォーマンスに及ぼす影響女性熟練参加者についての検討

*兄井 彰1 (1. 福岡教育大学)
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運動を行う際に観察者がいる場合、パフォーマンスが向上すると社会的促進、低下すると社会的抑制と呼ばれる。また、観察者の性別の違いにより、パフォーマンスへの影響が異なると考えられる。さらに、参加者の運動課題への熟練度によっても、観察者の影響が変わると考えられる。本研究では、課題に熟練した女性参加者を対象に、観察者の性別が速さと正確さの両方が求められる課題のパフォーマンスに及ぼす影響について検討した。女性熟練参加者16名は、できるだけ速く正確にバスケットボールのフリースローを10回連続で行うように求められた。参加者は、異なる日に3つの条件で実験を行い、観察者がいない単独条件、男性の観察者がいる男性観察条件、女性の観察者がいる女性観察条件を設定した。観察者は参加者と面識のない2人で、マスクとトレーニングウェアを着用していた。実験の結果、10回のシュート成功回数及び10回のシュートにかかる所要時間には、条件間で有意差は見られず、観察者によるパフォーマンスへの影響は確認できなかった。また、運動終了後に課題への動機づけについて、視覚的アナログ尺度(VAS)で調査したところ、観察者がいた場合の方が動機づけは高かった。さらに、課題への集中度について5段階尺度で調査したところ、観察者がいた場合の方が課題に集中していた。このことから、課題に熟練した女性参加者は、速さと正確さの両方が求められる課題において、観察者の有無や性別の違いによるパフォーマンスへの影響は見られなかった。しかし、観察者がいた場合、課題への動機づけが高まり、より集中していたと考えられる。先行研究では、課題に熟練していない女性参加者において、パフォーマンスへの影響を確認しており、観察者の影響は課題の熟練度によって異なるのではないかと考えられる。

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