講演情報

[03心-ポ-31]大学生競技者のスポーツ活動中の受傷経験がもたらす心的外傷後成長の傾向について

*本田 夕海1、廣光 佑哉1、石倉 忠夫1 (1. 同志社大学)
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一般的に、受傷は競技者にとって危機的な出来事であるが、近年の研究ではその出来事がポジティブな変化(心的外傷後成長:PTG)を促す場合もあると報告されている。しかし、PTGの程度に影響する要因は明らかでない。そこで本研究は、受傷状況等がPTGの程度にどのように影響を与えるのかについての知見を得ることを目的とした。大学生195名(男性116名、女性79名)を調査対象とし、アンケートにて基本属性、受傷歴・受傷時の状況と現状、動機づけ要因、PTGについて回答を求めた。分析対象者として「高校入学以降離脱期間が4週間以上の怪我を経験、復帰済み」かつ「受傷時の主観的衝撃度6以上」の61名を抽出した。Ⅰ.衝撃度、期間とPTGの関連を検討するためSpearmanの順位相関係数を用いた。Ⅱ.衝撃度×期間による被験者間の2要因分散分析を行った。Ⅲ.①受傷状況、②怪我の種類、③部位、④手術の有無、⑤競技種目、⑥競技レベルについて衝撃度・PTGとの関連を検討するため、①は被験者間の1要因分散分析、②~⑤は対応なしのt検定、⑥は出場試合レベル×出場機会による被験者間の2要因分散分析を行った。Ⅰでは、衝撃度-PTG間、期間-衝撃度間に有意な相関が認められ、衝撃度の高い受傷ほどPTGが大きく、離脱期間の長い受傷ほど衝撃度が大きくなっていた。Ⅱでは、有意差が認められなかった。Ⅲでは、手術の有無-衝撃度間に有意差が認められ、手術を要する受傷は衝撃度が大きかったことが示された。また、PTGに関しては全て有意差が認められなかった。以上のことから、本研究で扱った変数のPTGへの影響は明らかにならなかった。そのため、受傷後のPTGは環境や状況の要因よりも怪我をどのように受け止めてきたかが重要だと考えられる。今後「受傷経験に対する捉え方」に影響する要因を検討する必要があると言える。

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