講演情報
[03心-ポ-35]行動分析学に基づいたコーチングが大学生のアメリカンフットボール選手のキックオフスキル向上に及ぼす効果
*平田 大智1、品川 慧洸2、米山 直樹2 (1. 関西学院大学大学院文学研究科、2. 関西学院大学文学部)
【序論・目的】スポーツの競技スキル向上には、行動分析学の枠組みで実施される「行動的コーチング」が有効であることが示唆されている (栗林他, 2017)。そこで本研究では、アメリカンフットボールのキックオフスキルに対する行動的コーチングの効果を検討した。【方法】〈研究対象者〉私立大学体育会アメリカンフットボール部に所属する男性2名 (以下、選手A、選手B) であり、両者ともにポジションはキッカーであった。〈手続き〉ベースライン期、介入Ⅰ期、介入Ⅱ期、ポストテスト期、フォローアップ期からなる参加者間多層ベースラインデザインを用いた。ボールをセットしてキックすることを1試行とし、1セッション3試行行った。ベースライン期ではビデオ撮影のみ実施した。介入Ⅰ期はセッション開始前にキックオフスキルの下位スキルを教示し、ビデオモデリングを実施した。セッション終了後はビデオと口頭によるフィードバックを実施した。介入Ⅱ期ではゴールラインとサイドラインから9 ヤードの交点と、交点から3ヤードの地点にひし形になるように4 つのマーカーを置き、中心のマーカーを目印にする教示を加えた。〈標的行動〉「キック開始」に関する5項目、「キック、足の振り方」に関する3項目、「フォロースルー」に関する2項目の計10項目の下位スキルを標的行動とし、チェックリストを作成した。〈従属変数〉キックオフスキルの下位スキルの正反応率とキックの飛距離を測定した。【結果・考察】SMDを用いて効果量を算出したところ、選手A、Bともにベースライン期と介入期で効果「大」が示された。しかし、キックの飛距離には効果がなかった。アメフトのキックオフスキルに対しても、行動的コーチングが有効であることが示されたが、飛距離の向上には、スキルの向上にあわせて筋力等の要素も考慮する必要性が示唆された。
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