講演情報
[03心-ポ-14]教員養成学部生を対象とした少人数クラスにおける体育指導効力感尺度の開発
*藤田 勉1 (1. 鹿児島大学)
本研究の目的は教員養成学部に在籍する学生を対象とした小学校体育における指導効力感尺度を作成することであった。既に体育指導効力感尺度(白幡ほか, 2021)はあるが、複式学級のように少人数且つ異学年と一緒に実施する場合の個人差を想定した尺度はない。本研究は学生に複式学級の指導についてイメージを持ってもらうための演習・実習を開講し、効果を検証する尺度を作成するものである。研究方法は教員養成学部の大学生187名を対象とした質問紙法であった。尺度作成については、NTSES(Skaalvik and Skaalvik, 2007)の下位尺度である教示尺度の内容を参考し、内容的妥当性として個人差の指導に関する内容が項目に含まれることを考慮した。なお、対象者は、学生であるため、調査の実施にあたり、質問紙の教示文には指導することを想定して回答するよう記述した。得られたデータの因子的妥当性を検討するため、探索的因子分析を実施したところ、4項目1因子構造となり、検証的因子分析により因子モデルとデータの適合度は良好な値(GFI=1.00, CFI=1.00, RMSEA=0.00)が示された。また、各項目の因子負荷量は、0.50以上であった。尺度の基準関連妥当性の検討するため、白幡ほか(2021)の下位尺度である基礎的知識実践尺度との相関係数を算出したところ、高い正の相関(r=0.77)が示された。次に、尺度の信頼性を検討するため、内的整合性を算出したところ、高い値(α=0.79)が示された。これらのことは尺度の妥当性と信頼性が認められたことを意味する。尺度得点について、学年、性別、所属学科、スポーツ経験等、属性による影響を重回帰分析により検討したところ、所属学科(保健体育orそれ以外)からの影響指数が高く、保健体育科の学生が高いことが示された。今後は、演習・実習を通して本尺度の利用可能性を検討していく。
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